「黄土だから消毒しなくていい」は本当に安全?よもぎ蒸し業界の信頼を守るために
こんにちは。整え専門家、よもぎの女王タニ子です。
私は30年以上よもぎ蒸しに携わり、
現在は一般社団法人よもぎ温熱セラピー協会の代表理事として、
安全なよもぎ蒸しを提供できる人材の育成に取り組んでいます。
今回お伝えしたいのは、よもぎ蒸しで使用される「黄土座器」の衛生管理についてです。
黄土よもぎ蒸しの一部では、
「黄土には抗菌作用がある」
「黄土には自浄作用がある」
「黄土そのものが殺菌してくれるから、消毒は必要ない」
という説明がされています。
私は、この考え方が広がっていることに、大きな不安を感じています。
これは黄土という素材を否定するための記事ではありません。
よもぎ蒸し業界全体の安全性と信頼を守るために、
素材のイメージだけで衛生管理を省略してよいのか、改めて考えていただきたいのです。
黄土サロンの衛生管理は統一されていません
公開されている黄土座器のお手入れ方法を調べると、
メーカーやサロンによって大きな違いがありました。
使用後は水拭きだけ
濡れたタオルで拭いて乾燥させる
水洗いして自然乾燥させる
植物由来の除菌消臭スプレーを使用する
お客様一人ごとに洗浄・消毒する
黄土の自浄作用があるため、消毒は必要ないとする
このように、「黄土よもぎ蒸し」と一括りにしても、衛生管理の方法は同じではありません。
中には、座器や黄土壺に洗剤を使用しないよう案内している製品もあります。
素材を傷めないために、使用できる洗剤や薬剤が限られる事情はあるのだと思います。
しかし、そこで考えなければならないのは、
「汗や皮脂などの汚れを、何によって取り除くのか」
「前のお客様が使用した後、どのように衛生的な状態へ戻すのか」ということです。
「抗菌」と「消毒」は同じではありません
抗菌、除菌、殺菌、消毒。これらは、すべて同じ意味ではありません。
「抗菌」は、一般的に菌の増殖を抑えることを表します。
それだけで、付着しているすべての菌やウイルスを死滅させるという意味にはなりません。
また、「素材に抗菌性がある」と
「使用後の洗浄や消毒を行わなくてよい」も、同じではありません。
汗や皮脂、角質などが付着した状態では、まず汚れを物理的に取り除く必要があります。
目に見える汚れが残ったままでは、消毒剤を使用しても十分な効果を得られない可能性があります。
すべての粘土に抗菌作用があるわけではありません
天然粘土の抗菌性について調べた研究では、一部の特定の粘土が抗菌性を示す一方で、
抗菌性を示さない粘土や、菌の増殖を促した粘土も報告されています。
抗菌性は、産地、鉱物組成、含まれる金属イオン、pH、水分などの条件によって異なります。
つまり、
「土だから抗菌」
「黄土だから殺菌できる」と一律に考えることはできません。
黄土座器に抗菌性があると表示するのであれば、本来はその製品自体について、
・どの菌を対象にしたのか
・菌数がどの程度減少したのか
・効果が得られるまで何分かかったのか
・乾いた状態でも効果があるのか
・汗や皮脂が付着した状態でも有効なのか
・長期間使用した製品でも効果が維持されるのか
・第三者機関による試験なのか
といった情報を確認する必要があります。
「昔からそう言われている」
「黄土には自浄作用があるらしい」という説明だけで、
複数のお客様が使用する座器の消毒を省略することには、私は賛成できません。
大切なのは、素材ではなく衛生管理の仕組みです
黄土か、木製か、プラスチック製か。素材の違いだけで、衛生的かどうかは決まりません。
どのような素材であっても、複数のお客様が直接肌を触れ、
汗をかく環境で使用する以上、一人の利用が終わるごとに適切な衛生管理を行う必要があります。
大切なのは、「この素材には抗菌作用があるから大丈夫」と考えることではなく、
「使用後に何を、どのような手順で、誰が清掃・消毒するのか」を明確にすることです。
協会では一人ごとの消毒を指導しています
一般社団法人よもぎ温熱セラピー協会では、
yomoginaを導入しているサロンに対し、お客様一人の利用が終わるごとに、
座面をアルコール消毒するよう講習で指導しています。
アルコールを吹きかければ、それだけで何もかも解決するという意味ではありません。
まず汗や水分、目に見える汚れを適切に取り除く。
そのうえで、一人ごとにアルコール消毒を行い、十分に乾燥させる。
肌に触れる椅子カバーやガウンは、一人ごとに交換して洗濯する。
洗濯設備を用意できない場合には、一人ごとに使い捨てられるディスポマントを使用する。
取り外せる座面は、表面だけでなく裏側や中央の穴の周囲まで確認する。
使用した土鍋は、よもぎや煮出した液を捨て、柔らかいスポンジと食器用洗剤を使って洗浄する。
こうした一連の手順を行うことで、次のお客様を清潔な状態でお迎えできます。
私たちが大切にしているのは、素材の力だけに衛生管理を任せないことです。
人の手で確認し、清掃し、消毒し、交換する。
誰が担当しても同じように実行できる手順をつくる。
それが、サロンに必要な衛生管理だと考えています。
一部の管理不足が、業界全体の不信につながります
もし、お客様が前の方の汗が残ったガウンを着せられたり、
十分に清掃されていない座器へ案内されたりしたら、どう感じるでしょうか。
不信感を持たれるのは、そのサロンだけではありません。
「よもぎ蒸しサロンは不衛生なのではないか」
「よもぎ蒸しは安心して受けられない」
という印象が、業界全体に広がる可能性があります。
真面目に一人ごとの洗濯、清掃、消毒を続けているサロンまで、同じように見られてしまいます。
だからこそ、衛生管理は各サロンだけの問題ではありません。
よもぎ蒸し業界全体の信頼に関わる問題です。
黄土を批判したいのではありません
私は、黄土を使用しているすべてのサロンが不衛生だと言っているのではありません。
実際に、お客様一人ごとに座器を洗浄・消毒し、
マントも毎回交換している黄土サロンがあります。
問題にしているのは、素材の抗菌作用を理由にして、
人が行うべき衛生管理を省略する考え方です。
黄土でも、ヒノキでも、ほかの素材でも、安全性の基本は変わりません。
お客様一人ごとに清掃する
素材に適した方法で消毒する
肌に触れる布製品を交換する
使用済みと清潔なものを分ける
十分に乾燥させる
清掃と消毒の手順をスタッフ全員で共有する
よもぎ蒸しを愛し、その良さを広めたいからこそ、都合のよいイメージに頼らず、
安全性と正面から向き合う必要があると思っています。
メーカーを問わず、安全な提供方法を学んでください
一般社団法人よもぎ温熱セラピー協会では、
よもぎ蒸しを安全に提供するための知識を体系的にお伝えしています。
協会監修のyomoginaを使用している方だけではありません。
すでに他社メーカーの器材や黄土座器を使用している方も、
よもぎ温活アドバイザー1級を受講していただけます。
今お使いの器材を否定するための講座ではありません。
現在の衛生管理や提供方法を見直し、お客様へ安心してよもぎ蒸しを提供できるサロンを
増やすための学びです。
「メーカーから詳しい衛生管理を教えてもらっていない」
「自己流のお手入れで本当によいのか不安」
「黄土の抗菌作用があるから大丈夫と言われたけれど、根拠が分からない」
「お客様へ自信を持って安全性を説明したい」
そう感じている方は、ぜひ一度学びに来てください。
安全なよもぎ蒸しサロンが増えることが、よもぎ蒸し業界全体の信頼につながります。
私たちは、メーカーや流派の違いを超えて、
安心して身体を預けられるよもぎ蒸し文化を育てていきたいと思っています。
一般社団法人よもぎ温熱セラピー協会代表理事整え専門家・よもぎの女王 タニ子




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