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よもぎ蒸し、IHコンロで大丈夫? 器具選びを大切にする理由

10 分前
読了時間: 9分

妊娠中の電磁界への公的な注意喚起から、よもぎ蒸しの器具選びを考える



よもぎ蒸しというと、

「どんなよもぎを使っていますか?」「椅子は何でできていますか?」「どんなマントを使っていますか?」

といったことは、よく聞かれます。

でも、「その土鍋を、何で温めていますか?」

というところまで気にされる方は、まだそれほど多くありません。


当協会が監修するyomoginaでは、よもぎ蒸しの熱源としてIHコンロを採用していません。

土鍋と、IHではない電熱式のコンロを組み合わせています。

では、なぜなのか。

今回は、IHから発生する電磁界について、特に妊娠中の方への公的機関の注意喚起も含めながら、

「なぜyomoginaではIHを選ばないのか」その考え方をご紹介します。


IHは「電磁誘導」で鍋を温める

IHは、Induction Heating=電磁誘導加熱の略です。

IH内部のコイルに中間周波の電流を流し、そこで発生した磁界によって鍋底に電流を生じさせ、鍋そのものを発熱させる仕組みです。

日本の電磁界情報センターによると、IH調理器では主に20~90kHzの中間周波磁界が発生します。

つまり、IHが磁界を利用して加熱する機器であること自体は事実です。


「IHは危険」と言いたいわけではありません

この記事は、「IHは危険だから絶対に使ってはいけない」ということを伝えるものではありません。

日本の電磁界情報センターでは、家庭用IH調理器について国際的な測定規格に沿って測定し、通常の測定条件では国際的なガイドラインの制限値を下回ることを確認しています。

また、現時点でIH調理器の使用による健康影響を示す科学的根拠は確認されていないと説明しています。

WHOも、日常生活で通常経験するレベルの電磁界について、流産、奇形、低出生体重などの妊娠結果が増えることを示す全体的な証拠はないとしています。

ですから、「IHを使えば健康被害が起こる」と断定するのは、現在の科学的な情報から見ても適切ではありません。


それでも、妊娠中の人に具体的な注意を出している公的機関があります


今回、特に注目したのが、スイス連邦公衆衛生局(FOPH)が2026年2月に公表したIH調理器についての資料です。

これはメーカーの広告や個人の意見ではなく、スイス政府の保健当局が出している情報です。

そこには、IHを使用するとき、

可能であればIH調理器から15cm以上離れること

が勧められています。

さらに、身体がIH調理器に非常に近づく場合や、キッチン台に身体が触れるような場合について、

「例えば妊娠中であれば」

という具体例を挙げ、奥側の調理ゾーンを使う、または手前側を使う場合には出力を半分程度にすることが望ましい、としています。

ここは、器具選びを考えるうえでも注目したい点です。


「妊婦はIH禁止」という意味ではありません


ここは誤解のないようにお伝えしたい点です。

スイスの公的機関は、「妊婦はIHを使用してはいけない」とは言っていません。

妊娠中で身体がお腹側からIHに近づきやすい場合を例に、できるだけ磁界への曝露を少なくする使い方を勧めているのです。

実際、日本の妊婦を対象にした研究もあります。

1,565組の母子を調べた研究では、妊娠中のIH使用と低出生体重、胎児発育不全、出生体重との関連は認められませんでした。

また、5,022人を対象とした別の研究でも、最終的にはIH使用が早産リスクを増加させるとは結論づけられていません。

日本の電磁界情報センターも、これまでの研究では妊婦や胎児への健康影響を示す結果は得られていないと説明しています。

ですから、

「妊婦さんに危険だと証明されている」わけではありません。

でも一方で、海外の公的機関が妊婦を具体例にして、

「できるだけ近づきすぎないようにしましょう」

という予防的な使い方を示していることも事実です。

この両方を理解しておくことが大切です。


電磁界は「距離」で大きく変わる


IHについて考えるとき、重要なのが距離です。

IHの近くでは磁界が強くなり、距離を取ることで大きく低下します。

電磁界情報センターも、IH調理器から5~10cm離れることで、国際的なガイドラインの参考レベルを超えないとする報告を紹介しています。

2012年の研究でも、IHに非常に近づいた条件では、測定規格上の距離とは異なる曝露になる可能性が示されています。

その研究では妊婦や胎児についても数値モデルで評価しており、非常に近い条件や高い曝露条件では、当時のICNIRP基本制限値を超える可能性が示されました。

これは「健康被害が起こる」という意味ではありませんが、IHでは距離や使用条件が重要であることを示す研究の一つです。

別の数値解析では、妊婦モデルで計算された値がICNIRPの基本制限値以下だったという報告もあります。

研究結果は一つではありません。

だからこそ、必要以上に怖がるのではなく、分かっていることと、まだ分かっていないことを分けて考えることが大切です。


では、なぜyomoginaはIHを使わないの?


ここからは、yomoginaの考え方をご紹介します。

一般的な料理では、コンロの前に立って、鍋を動かしたり、料理を取りに行ったり、その場を離れたりします。

一方、よもぎ蒸しは少し違います。

椅子の下に熱源があり、その上には土鍋があり、その近くで一定時間過ごします。

もちろん、キッチンでIHを使った研究結果を、そのままよもぎ蒸しに当てはめることはできません。

よもぎ蒸し用のIHについて健康リスクが確認された、というデータがあるわけでもありません。

だからこそyomoginaでは、「IHが危険だからやめよう」という発想ではなく、

選択肢があるのなら、わざわざIH方式を選ばなくてもいいのではないか。

という考えから、電熱式のコンロを採用しています。


「危険だから避ける」より、「必要のないものは選ばない」


よもぎ蒸しの器具選びにおいて、大切にしたい考え方があります。

それは、

必要以上に怖がらない。でも、選べるものならシンプルな方を選ぶ。

ということです。

IHが危険だと証明されているわけではありません。

でもIHが磁界を使って鍋を発熱させていることは事実です。

そして海外では、妊娠中の人を具体例として、近距離での磁界への曝露を減らすよう勧めている公的機関もあります。

そうした情報も踏まえ、身体の比較的近いところで一定時間使うよもぎ蒸しでは、

あえてIHを選ばない。

これがyomoginaの器具選びの考え方です。


yomoginaは「電熱コンロ+土鍋」


yomoginaでは、電熱式コンロと土鍋を使っています。

電熱式は、ヒーター自体が熱くなり、その熱を土鍋に伝えるというシンプルな仕組みです。

IHのように、磁界を使って鍋自体を発熱させる方式ではありません。

また、よもぎを煮出すための器具として、土鍋にもこだわっています。

土鍋でゆっくり温め、そこから立ち上がる蒸気と香りを楽しむ。

これが、yomoginaが長年大切にしてきたよもぎ蒸しです。


電熱コンロなら「電磁波ゼロ」ではありません


ここも正しく理解しておきたい点です。

電熱コンロだから電磁界がゼロ、という意味ではありません。

電気を使う製品ですから、電気に伴う電磁界は発生します。

そのため、「電磁波ゼロのコンロです」という表現は適切ではありません。

違うのは、IHのような電磁誘導によって鍋を発熱させる方式ではないということです。

この違いを理解した上で、yomoginaでは電熱式を選んでいます。


よもぎだけ良ければいい、とは考えていません


よもぎ蒸しを提供するうえで、よもぎの品質はもちろん大切です。

国産のよもぎや農薬を使わずに育てられたものを選ぶこと。

椅子の素材や形状。

マントの品質。

土鍋の材質。

そして、その土鍋を毎回温めるコンロ。

一つひとつの器具について、きちんと考えて選ぶことが大切です。

よもぎ蒸しは、よもぎだけでできているものではありません。

椅子。マント。土鍋。コンロ。水。温度。そして提供する人の知識。

全部がそろって、一つのよもぎ蒸しです。


これから導入する方にも、器具を見直すきっかけに


長くよもぎ蒸しサロンを運営されていると、最初に購入したコンロを、そのまま何年も使っている方もいらっしゃると思います。

壊れていないから使っている。

特に不便もない。

もちろん、それだけで問題があるということではありません。

でも今回の記事を読んで、

「そういえば、うちのコンロはどんな方式だったかな?」

と思ったら、一度確認してみてください。

そして、これからよもぎ蒸しを新しく導入する方。

コンロの買い替えや追加購入を検討されている方。

器具を選ぶときには、価格や使いやすさだけではなく、

「なぜこの器具を選ぶのか」

という視点も持っていただければと思います。

当協会では、よもぎ蒸しの導入にあたって、使用する器具や衛生管理、提供する側の知識なども大切に考えています。


また、yomoginaでは、IH方式ではない電熱コンロについて、買い替えや追加購入のご相談も承っています。


お伝えしたいのは「IHが怖い」という話ではありません


この記事で一番お伝えしたいことは、「IHは危険です」という話ではありません。

現在の研究では、通常のIH使用による妊婦や胎児への健康影響が確認されているわけではありません。

その一方で、磁界は発生する。

距離によって曝露量は変わる。

そして、海外の公的保健機関には、妊娠中の人を例にして、できるだけ近距離での曝露を減らすよう勧めているところもあります。

そうした情報を知ったうえで、

何を基準に器具を選ぶのか。

そこが大切だと考えています。

すべてを怖がって生活する必要はありません。

でも、選べるものなら、できるだけシンプルに。

身体の近くで使うものなら、なおさら丁寧に選ぶ。

見えないところまで、自分たちなりの理由を持って選ぶ。

よもぎ蒸しを提供するサロンにも、これから導入を検討される方にも、大切にしていただきたい視点です。

何を蒸すかだけでなく、何で蒸すか。

当協会では、これからもよもぎ蒸しに関する正しい知識と、安心して利用できる環境づくりの大切さをお伝えしてまいります。

ぜひ一度、よもぎ蒸しに使用するコンロや器具について、見直すきっかけにしていただければ幸いです。


※本記事は、IH調理器による健康被害を主張するものではありません。2026年10月時点で確認できる公的機関および学術研究の情報をもとに、よもぎ蒸しの器具選びについての考え方をご紹介しています。妊娠中のIH使用についても、現在の研究では胎児への悪影響が確認されているわけではありません。一方、スイス連邦公衆衛生局では、IHとの距離を取ることや、身体が非常に近づく場合には妊娠中の方を例として使用位置・出力に配慮するよう案内しています。また、本記事は妊娠中の方によもぎ蒸しを勧めるものではありません。妊娠中の温熱ケアについては主治医にご相談ください。

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